障害福祉サービスに携わる職員と障害年金 まずはここまで知ろう!

思い、感じたことあれこれ

障害年金って制度も、その手続き方法も、何でこんなに複雑なんでしょうね。
そのため、本来であれば障害年金を受給できる可能性のある方が、
制度を知らなかったり、手続きの大変さから断念したりする事があるのです。

そんな時、近くで支援する障害福祉サービス事業所等のスタッフが、
必要な情報を伝えたり、必要な機関に繋いだりできれば良いのですが、
実際のところ、それらのスタッフにとってもかなりの複雑さなので、
説明すらままならないのが実情ではないでしょうか?

そこで私は、障害年金が必要な方への情報提供はもちろん、
福祉職のみなさんにも、障害年金を知ってもらうお手伝いをしています。

それが社会福祉士であり、社会保険労務士でもある、
私の強みを活かすことだと思うからです。

ということで、今回は障害福祉サービスに携わる職員さんなら、
これぐらいまでの障害年金の知識はあった方が良いかな・・・
ということについてまとめてみたいと思います。

※ 障害年金制度がとっても複雑な理由の1つが、
「例外」が多いためです。今回のブログでは、
例外はなるべく書かず、「原則」のみ書きます。
何事も、まずは原則が大切ですからね。

障害年金の受給要件

障害年金を受給するためには、
次の3つの要件すべてを満たす必要があります。

① 初診日要件
② 保険料納付要件
③ 障害程度要件(原則、障害認定日において)

①②③ どれについても細かいことを書きだすと、ものすごい量になりますが、
今日は本当に簡単に(概要だけ)、なるべく分かりやすい言葉で書きますね。

① 初診日とは、障害年金を受給しようとしているその障害の原因となる病気やケガで、初めて医師や歯科医師に受診した日を言います。

障害年金を受給するためには、原則として「初診日」を確定しなければなりません。

ちなみに、受診した医師の診断が誤診だったとしても、その日が初診日になります。

この「初診日」が確定し、病院から証明してもらえないと年金受給が少し難しくなります。

もちろん例外がありますが、今日はあえてその全ては書きません。

例外のうち1つだけ書いておくと、
知的障害の方(療育手帳を取得している方)は、
生まれながらの障害ですので、初診日を証明する必要はありません。

続いて②の保険料納付要件です。

②の保険料納付要件は、①の初診日要件と関連します。

初診日の前日時点で、年金保険料を基準以上の期間、
納付している又は免除申請している必要があります。

初診日の「前日」なのは、初診日当日(大ケガをした当日等)に、
「これりぁまずい。年金もらえなくなる」と思って、
まとめて保険料を納付してもダメですよということです。

残念ながら、基準以上の期間、保険料を納付しているか、免除申請していないと
どんなにどんなに重い障害でも、年金を受給することはできません。

ただし、20歳より前が初診日の場合は、
20歳前には年金保険料を納付する義務がありませんので、
この要件は不要となります。(つまり知的障害の方は、この要件も不要です)

最後に③障害程度は、
①②より、ほんの少しわかりやすいですかね。

障害認定日(原則、初診日から1年6カ月後。これも例外あり)に、
その障害の状態が、年金受給に該当するぐらいの状態である必要があります。

もう少し具体的に言えば、
日常生活に支障が無いような軽い障害ではダメなのです。

ここまで本当に簡単に3つの要件を書きました。

①初診日を確定し、
②保険料をしっかり納めていて(免除していて)、
③該当する障害の程度である。

障害福祉に携わる福祉職として、
まずはこれぐらいまでは知っておく必要があるかと思います。

残念ながら、障害者なら誰でも受給できるわけではないのですね。
(障害者手帳を持っていても受給できないケースもかなりあります)

障害年金を受給できるかどうかはどう決まる?

では、最終的に障害年金を受給できるかどうかは、
どのように決まるのでしょうか?

裏を返せば、受給できないということは、
上記①②③のどれかが条件を満たしてしないということなのです。

中でも、福祉職として1番関係するのは、③の障害程度だと思います。
(①②が×の場合は、福祉職の範疇ではありません。この場合は、障害年金を専門としている社会保険労務士に相談してみるという手はあります。)

その方の障害程度が、基準まで達していないのならどうすることもできませんが、
よくあるのが、本当は基準を満たしているのに、それが審査する年金機構に伝わっていない場合です。

では、年金機構は、どのように審査するのか?

すべて書類なのです。(面接や実地調査はありません)

その書類の中でも、その多くは、医師(主治医)の診断書だと言われています。

つまり、年金機構に、その障害状態が伝わっていないということは、
診断書を書いてもらった主治医に伝わっていないということ
なのです。

日ごろから、その方を支援する職員として、
その方の生活のしづらさを、診断書を作成してくれる医師にお伝えしてみても良いと思います。
(もちろん嘘はダメですよ)

その際、生活のしづらいポイント等を書面にまとめて、

「もしよろしければ参考にしてもらえるとありがたいです」
という感じで、渡してみても良いでしょう。

まとめ

自分が支援している利用者さんが、障害年金を受給できるかできないかは、とても大きな問題です。

受給できないのであれば、他に何らかの収入を得る手段を検討する必要があるからです。

福祉職は、障害年金の受給申請を報酬を得て代行することはできません。
(代行できるのは、弁護士か社会保険労務士です。近隣で、障害年金の申請に定評がある社労士と関係を形成しておき、必要な時に繋げる事ができると福祉職として心強いです)

しかし、福祉職という、障害がある方の生活に直結する仕事をしている以上、
その生活の基盤となりうる障害年金について相談されることもあるはずです。

ぜひ、少しずつで良いので、知識を増やしてくださいね。
まずは、今日のブログの内容ぐらいで良いと思いますよ。

最後に障害年金に関する本を1冊だけ紹介します。
私は仕事柄、20冊以上の障害年金に関する本を手にしています。
その中でナンバー1は?と聞かれたら、迷わず次の本を紹介します。
(令和4年10月9日時点)

障害福祉に携わる方にとって、手元に置いておくときっと役に立つ本になると思います。

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