福祉人の相談力とは何か?②必要な力は専門の知識だけではない。

福祉関連

前回は、「相談力」の概要について書きました。
(前回の記事 → 相談力とは何か?①

今回は、相談力をもう少し具体的に見てみたいと思います。

さてここで1つ考えてみてください。
もし、今あなたが困っていることがあって、
誰かに相談するとしたら、誰に(どんな人に)相談しますか?

私の場合、何でもかんでも、同じ人に相談しません。

例えば、私の職場でのことで考えてみると、
会計関係については、財務担当のスタッフや、顧問税理士さんに、
労務的なことは、顧問社労士さんに、
法律的なことは、顧問弁護士さんに、
健康的なことは、看護スタッフに、
利用者さんの支援については、同僚や、同業の方に・・・

完全に使い分けています。

みなさんもきっとそうですよね?
決して職場の会計のことは、家族や友人に相談しません。
(家族や友人が会計に精通している場合の除く)

これは何か?と言えば「専門の知識」です。
これは必須の条件と言ってよいでしょう。

しかし、私はこれからの時代、専門の知識だけでは、
相談者として選ばれない可能性が高くなると思っています。
なぜそうなのか? そしてどういう力が必要なのか?
1つずつ見ていきましょう。

知識は簡単に手に入る

ご存知のように、様々な知識は簡単に手に入る時代になっています。

パソコンやスマホで、知りたいことを検索すれば、
本当にたくさんの情報が手に入ります。

例えば私は、このブログを立ち上がる時も、
「WordPress ブログ 始め方」で検索したら、
とってもたくさんの情報が出てきましたし、

以前住んでいた賃貸物件から引っ越す際に、
敷金の返還や、原状回復についてオーナーさんと、もめそうでした。

ひと昔前なら、これについて弁護士さん等に相談しなければ、
対応方法が分からなかったと思います。

しかし、今では、「賃貸、敷金、原状回復、契約」等で、
検索した結果、たくさんの情報が手に入り、
その情報をもとに、オーナーさんと交渉したところ、
無事に解決したのです。

このように、以前は「専門家」という人しか持っていなかった知識が、
ある程度簡単に手に入るのです。(もちろんインターネットの情報は間違いも多いですが)

ということは、何かの専門家として、誰かの相談を受ける人は、
インターネットで調べれば手に入るぐらいの知識は、
当然に持っていなければならないということでもあるのです。
これからAIもますます発展するでしょうし、
専門家にとっては、厳しいですね。

では、インターネットやAIに負けない相談相手とは、
どんな力を持っているのでしょうか?

私を分かってもらえた満足感

私たちが誰かに相談する時に、
実は本当に求めていることは、
「私の大変さを分かってほしい」「私の今の状況を分かってほしい」
「私を分かっとてほしい」 ということだったりします。
(自分を分かってくれそうな人を相談相手として探しているのかもしれません)

私は現在、障害者総合支援法にもとづく、相談支援専門員をしていますから、
障害福祉サービスに関すること、障害福祉の制度に関すること、
障害年金等のことについて相談を受けますが、

利用者さんが求めているのは、
それら専門的な知識にプラスして、
「私は今、こんなに困っているの、分かって!
ということだったりするのです。

ただし、利用者さんに、あまりに感情移入し過ぎてしまうと、
冷静な判断ができなくなるので注意が必要です。
とはいえ、語弊があるかもしれませんが、
私は、ある程度、利用者さんにのめり込んでしまうぐらいの人の方が好きですけどね。

聴く力

では、「あの人は、私のことを分かってくれた!」
と、感じるのはどんな時でしょうか?

それは、「しっかり話を聴いてもらえた時」だと私は思っています。

「でも~」とか「そうは言いますけど」とか、
反論されずに、
「それは大変でしたね~」 なんて言われながら
相槌を打たれると、
「あ~ 分かってもらえた~」
と、安心し、「相談して良かった!」って思えるものです。

誰かに話を聴いてもらうこと(カウンセリング)には、
主に3つの効果があると言われています。

①カタルシス効果
話を聴いてもらうことで、気持ちが浄化される(スッキリする)効果

②バディ効果
仲間・味方がいてくれていると感じる効果

③アウェアネス効果
話をしているうちに、自分自身の理解に繋がり、一歩踏み出してみようと思える効果

これらの3つの効果の根底には、 
聴いてもらえて「私を分かってもらえた!」 
という気持ちがあるのだと思います。

人は嫌な相手からは、何も受け取れない

専門家は、相談者(クライアント)から聴いた内容に対して、
適切な説明やアドバイスを返しますよね。

その際によく陥ってしまうのが、

「聞く耳をもっていない人に、無理やりアドバイスをすること」です。

アドバイスの押し売りですね。

私は先日、次のようなツイートをしました。

私はこれが世の中の真理だと思っています。

一般的にはどんなに素晴らしいアドバイスをしてくれる人でも、
人は嫌な人からは何も受け取らないのです。

繰り返しになりますが、
「聴いてもらえたこと」「私を分かってもらえたと感じてもらえたこと」
等を通じて、信頼関係を形成して、
相談者(クライアント)に、聞く耳を持ってもらうことが必要です。

信頼関係ができてくると、
文字通り?相手の「聞く耳」が見えてくるものですよ(笑)

まとめ、そして今回の本の紹介

「今後、どんなにAIが発達しても、ソーシャルワーカーという仕事は決して無くならない」
と、どこかで目にしたことがあります。

これは、ソーシャルワーカーが持つ、専門的知識が要因ではもちろんなく、
上記したような、相談力「分かってあげられる力」「聴く力」が要因なのだと私は思っています。

専門知識をブラッシュアップしていくことも、もちろん大切ですが、
人の気持ち、心を分かってあげられる力をブラッシュアップすることも、
「相談力」を上げるには欠かすことができないのだと思います。

改めて、私だったらどんな人に相談するか?
・専門知識があり、
・しっかり話を聴いてくれて、
・私をよく分かってもらえそうな人
これが結論ですかね。

最後に、私がオススメする相談支援に関する本を2冊紹介しておきますね。
では、また次回お会いしましょう。

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