先日、埼玉県相談支援専門員協会主催の「スキルアップ研修」を受講しました。
「スキルアップ研修」と言っても、
具体的には「アセスメント力」を高めることを目的としたものでした。
(大正大学教授、近藤直司先生による研修でした。)
その研修の中で、1番の学びは、
・相談支援専門員として、自分の意見をしっかり言う
・上記の意見は、何らかの情報による根拠によるものでなければならない
ということでした。
私の間違った相談支援専門員像
昨今、福祉の世界では、頻繁に「意思決定支援」という言葉を耳にします。
私もその流行りに乗って?意思決定支援のブログを書いています
→ 障害福祉サービスにおける意思決定支援とは?
私は上記ブログ記事の中で出てくる、「意思決定支援ガイドライン」が出た
2017年頃から、
「利用者さんの意思が全てで、相談支援専門員の見立ては必要なのか?」
と、思って活動していた時期があります。
事実2019年10月17日には、次のようなブログも書いています。
→ 相談「見立て」専門員になっていないか?
まあ、その2日後には訂正&反省のブログも書いているのですが。
→ 訂正&反省「見立て」も決して悪くない
これは私が「見立て」という言葉が、何となく好きではなかったことも要因の1つです。
あくまで私のイメージの問題ですが、「見立て」は、利用者さんを枠に当てはめてしまうような感じがして、だったら「考察」という言葉を使いたいと思っています。
この考えが行き過ぎでしまい、当時は、
「相談支援専門員に意見は必要なく、利用者さんの意思が絶対」
のような考えになっていたのでしょう。(自己覚知です)
意見を言わないと議論にならない、ブラッシュアップされない、行動にならない
近藤先生の研修を受けて、私の考えは改めて完全に変わりました。
というのも、利用者さんを含む誰かが意見を言わなければ、そもそも議論にならないのです。
私も数多くのサービス担当者会議(支援会議等)に参加しますが、
状況の情報を共有するだけで、
「どうしましょうかね~?」「とりあえず様子観察ということで」
という感じに終わる会議が本当に多いこと。
このような会議等は、誰も意見を言わないからそのようになってしまうのです。
何らかの意見が出れば、それをきっかけに参加者の思考が刺激され、
「賛成」「反対」「でも私は◯◯だと思う」等の意見が更に出て、
その結果、意見がブラッシュアップされるのではないでしょうか。
それらの意見から当面の方針が決まり、その方針に基づき、それぞれの人の行動(支援すること)が決まるのだと思います。
(医療においても、担当医師が治療方針を必ず示します。)
とはいえ、アセスメントは適当な意見を言えば良いというわけではない。
とはいえ、とりあえず何でもかんでも適当な意見を言えば良いというわけではありません。
「議論をする」という意味では、とりあえずの「たたき台」としての意見は良いかもしれません。
しかし、それでは議論が遠回りになってしまうこともあるでしょう。
せっかく意見を言うのですから、その意見の根拠となる情報を示したいものです。
「本人が◯◯と言っていた」
「◯◯さんが◯◯と言っていた」
「以前◯◯ということがあった」・・・etc
何らかの根拠に基づく意見を言うからこそ、議論が深まり、次の行動が決まりやすくなるのではないでしょうか。
(医療のおいて、医師が何の根拠にも基づかない治療方針・方法を示されたら嫌ですよね。検査結果や、同様の治療例等の根拠に基づき治療方針等が決まるはずです。)
意思を確認し、アセスメントし、提案し、再度意思を確認し、行動するの繰り返し
では、利用者さんの意思決定支援との関わりはどうなるのでしょう?
それはもちろん全ての過程で関わります。
相談支援専門員が根拠に基づくアセスメントをする(意見を言う)からと言って、
利用者さんの意思をないがしろにするということではもちろんありません。
利用者さんの意思は、最も大切な情報なのです。
利用者さんの意思、その他様々の情報からアセスメントし、
それを利用者さんにわかりやすい形で「提案」してみてはいかがでしょうか。
その提案を含めて、再度利用者さんの意思決定支援を行えれば良いと考えます。
(インフォームドコンセントに似ていますかね)
(医療においても、医師が治療法を提案し、それを聞いて最終的に患者が治療法を決めるはずです。)
そうして決まった行動を実践し、間違っていたら修正する。
この繰り返しが大切なのだと思います。
最後に老婆心ながら・・・
ここまで相談支援専門員が、根拠に基づき自分の意見を言うことの大切さを書いてきました。
しかし、最大限注意しなけばならないのが、利用者さんを目の前にして意見を言う時です。
本当に本当に当たり前のことなのですが、
相談支援専門員の意見が押し付けになってはいけないのです。
あくまで提案であって、意思決定するのは本人なのだと思います。
そのためには、利用者さんが、相談支援専門員等の意見を聞いた上でも、
それを検討し、自分を意見を再度表明できるような状況や関係性が必要です。
(医療では、「お医者様」という権威がありますので、なかなかこれが難しいかもしれません。)
最後に、近藤先生は今回私が参加した研修に基づく本を書かれていますのでご紹介しておきます。
(私はこの本を読んでさらに理解が深まりました。)
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